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日本生体医工学会 北陸支部 優秀論文発表賞受賞 – 言語聴覚士のための表情トレーニングシステムの開発

大学院工学研究科 前期博士課程 知能システム工学専攻 2年

山田真大

知能システム工学専攻?ヒューマンインタフェース研究室(小越康宏准教授)では、ヒトの活動や表情などの様々な特徴を捉え、機械に反映させるプログラミングを構築しています。特に、障害者や高齢者が自立した社会生活を送る上で、不便さを解消するシステムづくりに焦点を当て、医療機関や教育機関と連携した研究を進めています。画像処理と筋電図を用いたシステムや脳波から作業などの集中度を観察する試みをし、様々な研究開発に取り組んでいます。

聴覚に障害を抱えている人に対して、医療現場では言語聴覚士(Speech Language Hearing Therapist:ST)と呼ばれる専門家が、発声?発話などの訓練?指導?助言を行っています。訓練を受けるのは先天的に聴覚や発声器官に障害を抱えている人や、後天的に病気や事故などで失語症を発症してしまう人など、障害の特性や年齢などは様々です。

ST の指導にはコミュニケ―ション障害の改善なども含まれ、療育の現場において早期の対応が望まれています。しかし、訓練を必要とする人に対してST の絶対数が不足していることや、ST の技量や経験にも差があるといった問題があります。そこで、標準的な技能を普及させST を支援するようなシステムへの期待が高まっています。

私たちはST による訓練のうち表情筋を使う訓練に着目し、訓練をコンピュータで支援することで、ST の負担を軽減するとともに訓練者の自主的な訓練を促し、訓練結果を客観的なデータとして記録できるようなシステムを開発しました。

人の表情は米国のポール?エクマン博士により基本的な感情と表情をカテゴライズし、幸福、怒り、驚き、悲しみ、嫌悪、恐怖の6 種類が提案されています。これらの表情は個人の国籍、文化を超えて普遍性を持つといわれます。また、表情動作の最小単位としてAction unit(AU)を提案しています。これは、人が表情を作る際に顔のどの部位が動いているのかを示したものになります。

今回開発したシステムではAU を使い「幸福」の表情と「怒り」の表情とその度合いの判定を、画像処理で行いました。このシステムは訓練者に教師画像と自分の表情を見比べてもらい、自分がどの程度の表情を作っているかを確認してもらいます。また、訓練時の映像は保存し、前回できなかった部分の確認も簡単に行えます。

今後はさらに表情の種類を増やすとともに、苦笑いといった微妙なニュアンスの表情の判定を取り入れ、表情訓練をより行えるようなシステムの開発に取り組んでいきたいと考えています。

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