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「人は変われる」をモットーに 生徒の力を引き出す

福井県立福井商業高等学校 チアリーダー部「JETS」 顧問?教諭/平成2年度 教育学部 中学校教員養成課程 卒業

五十嵐 裕子さん

ドラマのようなチームの躍進 来春には映画化も

 初めて赴任した県立坂井農業高校での11年を経て、福井商業高校へ移って、私の教師人生は大きく変わりました。福井商業のバトン部をチアリーダー部に変え、それから3年後の2009年に全米チアダンス選手権で初優勝、2013年から今年まで4連覇を含む通算6回の同選手権優勝を遂げることができました。
 「JETS(ジェッツ)」をモデルにした広瀬すずさん主演の映画『チア☆ダン』が来年の春に公開される予定で、自分でもJETSの躍進はドラマのような話だと思っています。このチーム名には、高校3年間でジェット噴射のごとくレベルアップしてほしいとの願いを込めました。

指導の最大のポイントは部員の意識を変えること

 坂井農業では剣道部やバレーボール部などの顧問をしましたが、部員にやる気を起こさせることができず、まったくの「ダメ教師」でした。そんな私に転機をもたらしのは、2004年3月にテレビで観た神奈川県立厚木高校の全米チアダンス選手権優勝のシーンでした。その瞬間、「これをやる、やらねばならない」と運命的なものを感じました。ちょうど、翌年の4月から福井商業に移ることになっていたので、そこでチアダンスを指導する決心をしました。
 伝統あるバトン部をチアリーダー部に変えようとしましたが、生徒と保護者から猛反対され、同僚からも反発がありました。結局、既存の部員が卒業、またはリタイアし、新入生だけでチアダンスのチームをつくったのは、赴任から3年目の年でした。
 私はチアダンスについては素人だったので、神奈川県立厚木高校のコーチを務めたプロのインストラクターに毎月一回の技術指導をお願いし、模範演技のビデオを見せながら部員を鍛えました。中学?高校の部活指導者はすべて自分で指導しようとしますが、私はコーチの役割を分担し、マネジメント感覚でチームを強化しました。最大のポイントは部員たちの意識改革です。「人は変われる」「なりたい自分になれる」と部員に語りかけてやる気に火を付け、まったく踊れなかった生徒が1カ月の猛特訓で見違えるように上手くなったこともありました。意識が変わり、部員の心が一つになると、チームは一気に強くなっていきましたね。

「なりたい自分」に向かう努力をしてほしい

JETS部員に囲まれて

 振り返れば、私自身が「変われた」実例といえます。テレビの金八先生に憧れて教育学部に入りましたが、運動が得意ではない私は、水泳やマラソンなどの実習でいつも遅れを取る落ちこぼれでした。でも、「生徒の成長を手助けできる先生になりたい」という情熱だけは失いませんでした。だからこそ、チアダンスとの出合いを生かすことができたのだと思います。ですから、福大生のみなさんも、今の自分がすべてだと考えず、夢や目標を持って「なりたい自分」に向かい続けてください。

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