電気電子工学専攻1年
山﨑 泰誠 さん
私たちの生活に電気エネルギーは不可欠です。最新の家電製品や電気自動車、ハイブリッド車、高速鉄道、送配電システムの中には、「インバータ」や「コンバータ」と呼ばれる電力変換器がたくさん使われています。その電力変換器において、電圧の大きさを変換したり直流を交流に変換したりする役割を担うのがパワー半導体です。この電力変換に際して、パワー半導体自体は熱を発生しないことが理想ですが、現在の主流であるシリコン半導体では、その材料の性質から来る限界により発熱が激しく、無駄なエネルギーを消費しない新しい半導体技術の研究が望まれています。本学大学院工学研究科、電気?電子工学専攻の葛原正明教授の研究室では、次世代のパワー半導体材料として期待される窒化ガリウムを用いて、更なる大電力化?省エネ化を目指したパワー半導体の研究を進めています。
パワー半導体の大電力化に向けて、「高電流化」と「高電圧化」を同時に実現できる窒化ガリウムデバイスの開発を進めました。するとデバイスを高電流化するほど、高電圧動作に対する耐性が低下し、デバイスが壊れやすくなることがわかりました。そこで私は、半導体に電圧を加えると起きる「エレクトロルミネセンス(EL)」という発光現象を使った分析手法に注目し、600ボルトを超える高電圧を加えたときにトランジスタが壊れてしまう要因を見つける研究を行いました。EL発光を詳しく観察すると、高電圧を加えたトランジスタが壊れる直前に、その破壊箇所でEL発光が強く生じることがわかりました。そこで、トランジスタの電極の形状に新たな工夫を加えたデバイスを試作したところ、従来より高い電圧を加えても壊れない良好な性能を実現することができました。本研究の成果はデバイスの量産にも役立つものであり、今回、私が参加した国際会議 (IMFEDK2016)において一連の実験結果を発表したところ、学生発表賞を受賞することができました。
私にとって国際会議は初めての経験であり、発表資料や原稿の準備などにも苦戦し、先生には連日長時間指導していただきました。また、英語での発表は緊張しましたが、今回の経験は自分の成長につながる有意義なものだったと感じています。このような機会を設けてくださった先生と、支えてくれた研究室のメンバーに深く感謝します。