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エンジン部品摩擦軽減 先端加工学会研究論文賞に(2011.9.4)

2011年9月4日 福井新聞

滑らかな動きが求められるエンジンのピストン部分などの金属部品について、表面に微細な凸凹を付けて摩擦を減らす加工技術を、福井大大学院工学研究機械工学専攻の岩井善郎教授らの研究チームが開発した。自動車の燃費改善につながる技術といい、先端加工学会の研究論文賞に選ばれた。
ピストンなどの金属部品には滑りやすさと同時に強度も求められ、両方の性質を併せ持つ「ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜」を表面に付加する技術が実用化されている。
ただエンジン部品では、効果的にエンジンオイルの油膜ができるよう、表面に微細な凸凹を付ける技術も求められて折りその際、DLC膜が非常に硬く加工しづらいことが課題となっていた。
岩井教授らは、県内の工作機械メーカーや県工業技術センターとチームをつくり2007年に研究をスタート。DLC膜を分子レベルで削るため、瞬間的に高いエネルギーを照射できる「フェムト秒レーザー」を活用した。さらに1秒間に8ミリの速度で動かすことで、深さ200~600ナノメートル(ナノは10億分の1)の凸凹を均一につくることに成功した。
従来は1ミリ四方程度しか加工できなかったが、最適な移動速度が分かったことで、縦20ミリ横30ミリの広い範囲で加工できたという。実験でも凸凹がない場合に比べ、摩擦係数が2割下がったことが確認できた。
論文は7月発行の先端加工学会誌に掲載された。研究論文賞は過去3年間に掲載された論文から、優秀な1編の著者に贈られるもので、誌面で受賞が発表された。
論文は、大学院博士後期課程に社会人学生として在籍する同大職員の峠正範さんが中心となりまとめた。峠さんは「さらに効率の良い凸凹の形状を研究したい」と今後の進展に意欲を見せる。岩井教授は「実際のエンジン部品でも効果を確かめ、県の産業に貢献できたら」と話している。

│ 2011年9月5日 │
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