加藤 瑞穂

地域と医療はひとつのチーム!
「暮らしの中の看護」が
人の元気になるチカラを引き出す

  • 株式会社オリナス
    代表取締役
    看護師?保健師?コミュニティナース
  • 加藤 瑞穂さん
  • KATO Mizuho
  • 2006年度 福井医科大学(現?福井大学)医学部看護学科卒業

地域に溶け込み、寄り添う。祖母のようなナーシングを目指して

 私流のナーシングの原点は、徳島県で保健師をしていた祖母の姿です。戦後にはじまった保健師駐在制度の下、地域の日常に当たり前のように溶け込んで活動し、地域の人たちに頼りにされていた祖母の存在に憧れて、看護師と保健師のダブルライセンスを取得しました。祖母は、今でも私の理想です。
 大学卒業後は看護師として大学病院や二次救急病院に勤務。その後、自治体の保健師を経験してから、訪問看護ステーションを仲間と立ち上げました。がんの痛みのコントロール、患者さんのご自宅での看取りを引き受け、どんな方でも断らないステーションに。「学校へ行きたい」という小児がんの子どもに付き添って登校した際、友だちと過ごすことでイキイキとした笑顔を見せてくれて。そんな経験をするうちに人を元気にできるのは医療だけでなく、地域の力がとてつもなく大きいと気づきました。病院という空間だけではなく、普通の暮らしの中で出会える看護師がいれば、その人らしく生きる手助けができる。病気にならないための提案もできる。そんな想いがあって、現在の活動を始めたんです。これまではカフェなどを拠点に活動していましたが、2024年からは、まちづくりなど地域の交流活動に看護のエッセンスを加えることで、「暮らしの中の看護」の可能性を広げるため、会社を起業し、代表に。地元企業や自治体も共感してくださり、地域の方が気軽に立ち寄れる寄り場(ヨリバ)を運営し、若い世代の居場所づくりや住民の方の健康相談も行っています。

自分の生き方と重なる仕事がこれだった

 今、医療の世界では人材不足や医療費の増加など課題が山積みですが、それらに一石を投じられるのも「暮らしの中の看護」の力。病院に行ってから看護師と出会うのではなく、病気になる前に出会って「健幸」につなげる。そんな仕組みができれば、医療体制の維持にも貢献できるはずです。
 大学時代にお世話になった先生や友達とは今でも交流があります。当時を思い出すと「これだけ基礎看護を学んだからこそ今の自分がある!」という自信にもなりますね。
 人とつながって、巻き込んで、新しい価値をつくっていく―。学生時代から何をするにしても、人とのつながりを大事にしてきました。いま看護を学んでいるみなさんも医療の枠を超えて人とつながってほしいですし、コミュニティをつくってほしい。人と助け合うことで気づくことや越えていける壁があるはずです。そんな次世代をつくるみなさんのチャレンジを応援し、バトンをつないでいくことも、私の使命だと思っています。

My memories

  • 大学の恩師や友人たちとは、今でも話をするだけで元気をもらえます。
  • 訪問看護ステーションでは子どもの在宅ケアも経験。それぞれの願いに寄り添ってきました。