竹川 充

「経営学」って役に立つ

  • 竹川 充
  • TAKEGAWA Mitsuru
  • 国際地域学部 准教授(経営学)

Profile

福井県出身。2019年、福井県立大学大学院経済?経営学研究科博士前期課程修了。2022年福井県立大学大学院経済?経営学研究科博士後期課程単位取得満期退学。会計事務所にて17年間税務会計業務に従事。2008年、MITコンサルティング株式会社設立。2022年、北陸大学経済経営学部准教授。2023年より現職。
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会計事務所、事業再生、そして研究の道に

 私が会計事務所に入社した1990年代前半は、バブルが崩壊し長く続いた不況の入り口。担当した中小企業は赤字も多く、どうすれば業績が回復するのか、一緒になって考えたことが経営に興味を持ったきっかけです。中小企業の経営課題を解決するため診断?助言を行う「中小企業診断士」という国家資格を取得し、公的機関などで経営相談の実績を重ねました。40歳を過ぎたころに縁あって独立。財務的な問題を抱えた中小企業の事業再生などに取り組む会社を立ち上げました。金融機関や公的機関の支援を得て、どのようなアクションを起こせば事業が再び軌道に乗るのか、再生計画を立ててアドバイスを行うといったことです。仕事の役に立つ勉強をしようと大学院に入ったところ、私が長年考えていた、企業がどう経営上の意思決定をするのかという理論を探求する学問こそが、真の「経営学」だと実感。より多くの地域企業に貢献したいと研究者として第三の職業人生を歩み始めたところです。
 

羅針盤をモチーフにデザインされた「中小企業診断士」のバッジ

イノベーションを起こす後継者たち

 近年、最も興味をもって取り組んでいるのが、中小企業の事業承継。いわゆる「後継ぎ」問題です。社長輩出率が全国トップの福井県ですが、裏返せば繊維や眼鏡、伝統産業関連の製造業を中心に小規模企業が多いということ。それら小規模企業の経営者の高齢化による後継者不足が十数年前から問題になっていました。私は実務家として事業承継のコーディネーターとしても活動し、承継に失敗したケースがある一方で、承継に成功し、後継者が下請けから脱却して新たなブランドを確立するイノベーションを起こしたケースにも出会っています。なぜイノベーションが創出できたのか。後継者がリーダーシップを発揮して推し進めた改革について、経営学の観点から理論的に裏打ちできないか研究しています。こうした成功例の裏にあるメカニズムが応用可能で、同様の問題に悩む地元の中小企業の参考、手助けになるものではないかと考えているのです。
 この小さな福井からどのようにマーケットを広げていくのか。地域の企業でありながら全国さらに国外に視野を広げていけるよう、研究を通じて貢献することが、本来、実務家である私がこの国際地域学部で教員をしている意義だと思っています。

It's My Favorite!

ギターを子どものころから続けていて、今年から誘われて、新たに松田聖子のトリビュートバンドに参加しています。