植松 英之

未来の複合材料を
目指して

  • 植松 英之
  • UEMATSU Hideyuki
  • 繊維?マテリアル研究センター 准教授(高分子物理化学)

Profile

1982年、山梨県生まれ。2006年3月、山形大学大学院理工学研究科博士前期課程 機能高分子工学専攻修了。2009年9月、山形大学大学院理工学研究科博士後期課程 物質生産工学専攻単位修得退学。2010年9月、博士(工学)学位取得。2009年11月山形大学大学院理工学研究科研究支援者、2010年4月に福井大学大学院工学研究科助教着任、2012年11月同研究科講師、2017年12月福井大学学術研究院工学系部門准教授、2019年4月に福井大学繊維?マテリアル研究センター 准教授となり現在に至る。
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素材同士の「界面」を究める

 炭素原子同士がかごの目のよう結び合った炭素繊維を、高分子(プラスチック)と組み合わせた複合材料(CFRP)は、強くて軽いことから航空機や自動車、ゴルフシャフトなどのスポーツ用品に至るまで幅広い分野に利用されています。髪の毛のおおよそ1/10の太さしかない炭素繊維だけでは形あるいは物にならないために高分子が必要不可欠です。利用される環境や目的(例えば耐熱性、耐薬品性など)に応じて相方の高分子を選び、どのように組み合わせる(複合化する)かが材料の性能を決めるターニングポイントになります。私はこの炭素繊維とプラスチックとが接着している界面(物質と物質が接している境界)を分析し、その接着性が複合化条件で異なる理由について理論的な解明を行っています。実際、炭素繊維といっても粗さなどの表面の状態が様々で、高分子も多くの種類がある中で同じナイロンであっても界面での物性は千変万化です。社会で使用されている複合材料の多くは、様々な材料で試行錯誤を繰り返して目的に沿った特性を達成されたものです。界面接着性が理論的に理解できれば、複合材料の改良あるいは新しい複合材料開発の効率化に繫がります。

「高分子と炭素繊維界面」

社会に直結する研究

 福井県は繊維王国と呼ばれ、繊維にまつわる研究、開発が盛んです。県内メーカーのCFRP製造技術は世界的に秀でていますが、界面接着性の制御に課題があります。私の研究は、福井県工業技術センターなどと共同で、地域に貢献したいという狙いが根底にあります。CFRPの界面問題に高分子の物理化学の視点でアプローチする試みは日本では珍しく、企業からの相談も多くあります。研究室の学生は、在学中に企業の研究職のような経験ができ、ものづくりのリアリティだけでなく研究が社会に直結していることを実感できると思います。
 既存の廃棄されたCFRPから炭素繊維を取り出し再利用するための研究、あるいは、接着の理解を解体あるいは分解させるための技術開発に応用し、循環型経済を実現できる複合材料を目指しています。

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家族で季節を感じられる場所に出かけることにハマっています!