科捜研から学びを求めて

  • 大学院医学系研究科 博士課程4年 村橋 将崇さん

福井県警の科学捜査研究所で法医担当として平成24年から勤務している村橋さん。事件現場に残された血痕や毛髪などの物体検査や、被疑者を特定するためのDNA型鑑定などを行ってきました。
現在の犯罪捜査ではDNA型鑑定は欠かせません。しかし、古い血痕などはそもそもヒトの血液かどうかを判別するためのヒトヘモグロビンが検出できないため、村橋さんはDNA型鑑定が困難な場面に直面することも多く、特に、事件から時間が経過するほど、遺留試料の鑑定はより困難に。村橋さんは科学捜査で学んだ鑑別方法に新たなアプローチを求めて、腫瘍病理学を専攻しました。
大学での研究では、これまでできなかった20年以上前の古い血痕や火災現場などで加熱された血液、薬物が高濃度で混入した血液からでも、ヒトヘモグロビンの検出が可能になる血液検査法を開発しました。
在学中は事件が起これば現場に急行、緊急の鑑定なども求められ、職務を遂行しながら同時に大学に通い研究も進めた村橋さん。
「それでも大学で学ばなければ今回のアプローチは得られなかった」と話し、確かな鑑別が、犯罪立証に貢献できればと語ります。
今後も大学の研究室に残り、科学捜査と研究を往還しながら、邁進されます。